文春新書 編集部副部長 石原修治氏
もう一昨年の話になります。縁あって、このお話を頂戴したとき、文学部卒で出版社の編集者である(つまり経済オンチで、純ドメスティック企業に働き、およそビジネスっぽくない仕事に従事している、いわば秋元さんたちとは真逆な環境にある)私にうまく担当が務まるものだろうかという気持ちになったことを思い出します。
ところが、始めてみると、そんな「三重苦の門前の小僧」にもわかりやすいのは、もちろん、目からウロコの連続、興味深くてエキサイティングな内容が紡ぎ出されていきました。
が……。完成間近となった矢先の昨年3月11日。不幸にもあの大震災が襲ったのです。と同時に日本の社会は、大きなパラダイムシフトを強いられることになったのは言うまでもありません。
ここで、秋元さんたちは、決断をします。「震災前のデータでは意味がない。震災後の実態をもう一度、調査しよう」と。
こうして7月に再度、「ジャイロ調査」が行われました。本書の完成は遅れることになりましたが、結果として、震災の前後で社員たちの意識がいかに変わったかもあぶり出すことができ、より充実した一冊になったと自負しています。
ちなみに弊社では、「金」「銀」「銅」「鉄」はもちろん、すでに「プラチナ社員」とか「鉛の社員」といった派生語までが飛び交っています。
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